2025年7月30日にロシア・カムチャツカ沖で発生したマグニチュード8.0の大地震が世界中で話題となっています。
この大きな揺れの影響なのか、日本各地でも「電子天秤の値が安定しない」という声が研究者や技術者の間で広がっているよう。
精密機器である電子天秤がなぜ地震の後にブレやすくなるのか、その理由を知っておくことは正確な計測を行う上でとても重要です。
この記事では、地震が電子天秤に与える影響や、振動以外に考えられる原因、そして対策方法までをわかりやすく解説します。
今、電子天秤の不調に悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
電子天秤が地震で安定しない理由とは?
地震の後に電子天秤が安定しないのは本当か?
2025年7月30日に発生したロシア・カムチャツカ沖のM8.0の大地震は、日本でも揺れを感じた地域がありました。
【津波注意報】
— 首相官邸(災害・危機管理情報) (@Kantei_Saigai) July 29, 2025
津波注意報を発表しました。
発表日時 30日08時37分
対象地域:北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、小笠原諸島、静岡県、三重県南部、和歌山県、宮崎県
一部の研究室や工場では「電子天秤が安定しない」という声がSNSなどで散見されましたが、これは本当に地震の影響なのでしょうか。
天秤ブレすぎて使えんと思ったら地震の影響か。
— ステファン🍭 (@yuki_hary) July 30, 2025
電子天秤は非常に繊細な計測機器で、わずかな振動や床の傾き、室内の気流や温度変化でも数値が揺れることがあります。
そのことから、大地震の後は余震や地盤の微細な揺れが続き、これが高感度の天秤に影響を与えている可能性は十分考えられるよう。
SNSの情報だけでは全てが事実とは言えませんが、実際に複数の人が同様の現象を感じているため、一定の信憑性はありそうですね。
微小振動と余震が電子天秤に与える影響
大地震の後には数日から数週間にわたって余震が続くことが一般的です。
大きな余震でなくとも、地中のわずかな地殻変動やマイクロトレマー(微小振動)が、床を通じて研究室の機器に伝わることがあります。
特に分析用の電子天秤は0.1mg単位などの極めて小さな質量を計測するため、地面のわずかな揺れを感知して値が安定しないケースがあります。
高層階や構造が柔らかい建物の場合、地面の微振動が建物に増幅されて伝わることも。
もし振動除去台を使用していない場合、この影響はさらに大きくなるでしょう。
地震後に測定値が安定しないと感じた場合は、計測を行う時間帯を変えたり、振動を遮断する設備を検討することが大切です。
建物の傾きや水平ズレも原因に?
大地震の揺れは建物の基礎や床にわずかな変化を与えることがあります。特に築年数が古い建物では、地震後に床が水平でなくなる事例は珍しくありません。
電子天秤は水平でなければ正確に動作しないため、設置場所が少しでも傾いていると数値が安定しなくなるのです。
研究室や工場で「突然電子天秤がブレるようになった」という場合、床の水平度を確認してみましょう。
水平器でのチェックはもちろん、防振台の再調整も有効です。
地震後は気付かないレベルの歪みが生じる可能性があるため、特に高精度機器を扱う場合は設置環境の再点検が必要です。
空調や気流、電源ノイズの影響も考えられる
振動以外にも、地震後の設備状況の変化が電子天秤に影響を与える可能性があります。
例えば大きな揺れで扉や窓の建て付けがずれ、わずかな隙間風が発生することで、室内に微弱な気流が生まれます。
これが高精度天秤の計測値を揺らすことがあります。
また、地震で空調のバランスが崩れたり、ファンの振動が伝わったりするのも一因です。
さらに、停電や電源設備の切り替えなどで一時的に電源ノイズが混入し、機器が不安定になることも稀にあります。
これらを防ぐには、測定環境をなるべく密閉し、風の流れを防ぐこと、また安定した電源を使用することがポイントです。
海外でも地震による影響が確認されている
日本だけでなく、海外でも大規模地震が高感度計測機器に影響した事例が報告されていました。
ポーランドの計測機器メーカー「RADWAG」がまとめたレポートでは、2012年のインド洋沖M8.7地震の際、震源から遠く離れた地域でも電子天秤の精度に影響が出たとされています。
遠隔地で発生した強い地震が、電子はかりの精密な計量結果に悪影響を及ぼすことがあります。目に見えない微小な振動でも、測定値の不安定化を引き起こす原因になります。
引用元:RADWAG公式レポート PDF
このように、震源が遠くても地震波が伝わり、建物全体に微細な揺れをもたらすことで、計測機器が正確に動作しなくなることが確認されています。
まとめ:複合要因を疑い、環境確認を徹底しよう
今回のような大地震の後に電子天秤が安定しない原因は、単一ではなく複合的なものが考えられます。
余震や微小振動、建物のわずかな傾き、気流の変化、電源ノイズなど、どれも単独でも影響を及ぼす要因です。
SNSで話題になっているからといって全てが事実とは限りませんが、「なぜ安定しないのか?」を確認するには、まずは振動源や水平状態を見直すことが大切です。
防振台の導入や測定環境の改善で多くの場合は対策可能です。もしそれでも改善しない場合は、専門業者に相談し、精密機器の設置環境を再チェックしましょう。